お話いただいた方:三菱ケミカル株式会社
フロンティア & オープンイノベーション本部
グローバルリサーチパートナシップ部 常石 明日香 様
AKCELI利用企業インタビュー
『AKCELI(アクセリ)』は、ナインシグマが長年培ってきたイノベーション支援のノウハウを活かし、企業が保有する技術や商材をもとに、潜在的な用途や協業候補となる外部技術を約5分で提示するAIサービスです。三菱ケミカル株式会社様には、サービスリリース当初から積極的にご利用いただいています。今回、その経緯や成果について詳しくお話を伺いました。
まずは御社の事業と、常石様のミッションについて教えてください。
当社は総合化学メーカーとして、さまざまな産業向けに多様な素材やソリューションを提供しています。既存の主力製品に加え、新規材料の開発や保有する技術・材料を新しい分野に展開していくことも重要なミッションです。
私の所属する部署では、そうした新規材料の開発や既存材料の新規用途開拓に向けた調査支援等を行っています。さらに、社外の企業や研究機関と連携して新しい価値を共創するオープンイノベーションの推進もミッションの一つです。生成AIや外部データベースの活用も積極的に進めており、AKCELIの導入もその一環としてスタートしました。
AKCELI導入前はどのような課題を感じていましたか?
新規テーマ提案前の事前調査や、既存技術の新規用途・市場探索には、個々の調査スキルの差による品質のばらつきという課題がありました。さらに、情報の網羅性に確信を持てず、調査に時間がかかることでスピードが低下するという問題も生じていました。
従来の初期調査では、主にインターネット検索や社内外の公開データベース、特許・論文検索などで得られる公開情報を活用することがほとんどでしたが、限界がありました。外部のシンクタンクなどに依頼すればより専門的な分析や海外市場・最新技術動向など幅広い情報を得ることができますが、コストやスピードの面で継続的には使いづらい。
一方で、社内でも生成AIの活用は進みつつありましたが、汎用的な生成AIでは文章的な回答が中心になってしまうことと、材料メーカーとして知りたい「どの市場に」「どのサプライチェーンで」活かせるかという粒度の情報までは得にくいのが実情でした。
そんな中で、AKCELIを導入されたきっかけを教えてください。
ナインシグマから社内の技術を「生成AIによる用途探索で活用できるのでは?」というご提案をいただき、トライアルで利用したのが最初です。
自社の材料情報を入力すると、情報を正確に把握して、これまでの検索では出てこなかったアイデアや視点が瞬時に提示されました。「このレベルの出力が得られるなら、もっと活用してみよう」と社内でも前向きな反応があり、導入を決定しました。
AKCELIを選んだ決め手を教えてください。
一つ目は、検索スキルに依存せず、誰でも一定の精度ですぐに結果を得られることです。
材料や商材の情報(PDFなど)を入力すると、AKCELIが背景を解析し、用途や関連企業を自動で提案してくれます。これまでのように検索キーワードを考えたり、プロンプトを調整したりする必要がありません。結果として、担当者ごとの発想力や調査力の差を埋め、チーム全体の底上げにつながっています。
二つ目は、ナインシグマのサポート体制の丁寧さと改善スピードです。
2〜3か月に一度の定例ミーティングで、使用状況や要望を共有できる点も心強く、継続利用の理由になっています。
半年ほどの利用期間でも、要望した改善が次々と反映されていきました。また、新規機能として「外部環境調査」が追加されるなど、より研究開発に便利な機能が追加されました。
実際にはどのような場面で活用されていますか?
現在は5ユーザーで契約し、複数部署で使っています。
主な活用シーンは二つあります。
まず、事業部では、自社製品のカタログやホームページに掲載している材料情報をそのまま入力し、AKCELIに用途探索をさせています。出力結果に含まれるサプライチェーン情報や関連企業リストは特に有用で、川上から川下まで、どの層でビジネスが立ちそうかを検討する材料になります。
もう一つは、研究部門でのテーマ提案支援です。新規テーマ提案では、市場環境分析機能が役立っています。新規材料を開発するにあたり、どういった用途に使われる可能性があるか、というのが非常に重要である中で、AKCELIでは自分たちが想定していない用途を見つけられるようになりました。
私たちの中では「まずはAKCELIに聞いてみよう」と、AKCELIを“壁打ち相手”として使うプロセスが根づきつつあります。
操作性や使い勝手はいかがですか?
非常にシンプルで、結果がすぐに得られるのがいいですね。
汎用の生成AIのように、プロンプトを工夫したり、何度も再生成したりする手間がなく、入力すれば瞬時に結果が返ってくるという安心感があります。
メンバーは30代から50代が中心ですが、みんなスムーズに使えています。
導入による変化や効果について教えてください。
まず、用途探索や市場環境分析にかかる時間が大幅に短縮されました。
これまで人によって調査範囲や精度に差があった部分が、AKCELIの利用により一定の品質で揃うようになっています。
メンバーからは「時間が効率化できた」「自分では思いつかなかった用途が見つかった」という声が上がっています。
固定化しがちな発想をリフレッシュする効果もあると感じています。
社内では人事異動もありメンバーは入れ替わりますが、それでも見ている情報源や考え方の軸は変わらないことが多く、新しい発想を得るのは容易ではありません。AKCELIを活用することで、これまで社内では出てこなかった領域や用途のアイデアに触れられるようになり、既存の視点に新しい切り口を加えられるようになりました。人の経験とAKCELIの客観的な探索が補い合うことで、チームとしてバランスのとれた調査体制が構築できていると感じます。
今後の展望とAKCELIへの期待をお聞かせください。
まずは、現在活用している部門で成果を積み重ね、将来的には社内全体へも展開していきたいと考えています。
当社のように製品・材料の種類が非常に多い総合化学メーカーでは、急速に変化する市場に柔軟かつ迅速に対応し、既存材料をどのように新しく展開できるか、さらに新規材料をどの分野に投入すべきかを見極めることが今後ますます重要になります。AKCELIはその推進役として大きな可能性を持っています。
また、特許情報や文献検索ツールとの連携が進めば、研究開発の深掘りにもつながります。
製品開発のスピードが求められる今の時代、短時間で網羅的な方向性をつかめるツールの存在は不可欠です。AKCELIがその役割を担うことを期待しています。
三菱ケミカル様では、オープンイノベーション推進部門、研究・開発部門から事業部まで幅広い部署でAKCELIを活用し、個人差に左右されない効率的な用途探索を実現しています。 「まずはAKCELIに聞いてみよう」という行動が日常的に根づき、同社の持つ膨大な技術資産を新しい価値へとつなげています。 AKCELIの導入と、それによって自社のR&Dや新規事業開発プロセスがどのように進化するか、気になる企業・ご担当者様は、ぜひ個別面談をお申し込みください。担当コンサルタントが、課題のヒアリングからソリューションまでをご提案いたします。 お気軽にお問い合わせください。